こんにちは、ズボラベランダガーデナーのえりかです。
みなさんは「スリット鉢」という鉢をご存知でしょうか?
昔はプロの育苗家が苗を効率的に大きくするために使われていたとのことですが、近年はその育苗効率の良さが注目され、一般家庭でも使用する人が増えている印象です。
いったいスリット鉢にはどんな魅力があるのでしょうか。
こんな人は読んでみてね
- スリット鉢とはどんな鉢なのか知りたい
- スリット鉢がなぜ植物にいいのか知りたい
- スリット鉢のメリット・デメリットが知りたい
- スリット鉢のおすすめの使い方が知りたい
スリット鉢とは
スリット鉢とは、プラスチックの鉢の底の方にスリット状の細長い穴があいたもののことを言います。
一般的な鉢は鉢底に穴があいているものが多いですが、スリット鉢は底の中心に丸い穴がありません。
その代わりに鉢の側面から底にかけて隙間のような細長い穴があいています。
単純な構造ですが、これがとても大きな効果があるのです。
このスリット穴があることによって植物に大きなメリットをもたらし、成長を促進することができます。
スリット鉢には、ノーマルのスリット鉢とロングスリット鉢という2種類があります。
ノーマルのものに比べて、ロングスリット鉢は背が高く深さがあるのが特徴です。
また、流通量は少ないですが素焼きのスリット鉢や装飾性のあるデザインのスリット鉢も存在します。
スリット鉢の号数について
鉢のサイズは号数で表されることが一般的です。
スリット鉢も他の鉢と同様、◯号とサイズを表現します。
号とか言われてもどれくらいの大きさかピンとこないよ!?
という初心者さんもおられるかもしれません。
ですが鉢の号数は簡単に把握することができます。
それは号数が直径を1/3にした数字だからです。
つまり、例えば5号鉢であれば直径15センチの鉢ということになります。
式にしてみると…
号数×3=直径(センチメートル)
こうなります。
3の倍数!と覚えておくだけで、鉢を購入する際にサイズの検討がつくようになります。
ちなみに、号数は直径を表しているのでノーマルスリット鉢とロングスリット鉢では同じ号数でも土の入る量は全然違います。
スリット鉢の原理
スリット鉢の構造はわかったけど、なんでそれが植物の役に立つの?
そんな単純な穴で本当に効果があるの?
こんなふうに思う方もいるかもしれません。
しかし、しっかりとした生物学的根拠があるのです。
根は酸素を求めて進む性質がある
ポット苗を購入して植え替えをするときに、ポットの中の根がぐるぐると巻くように伸びてギュウギュウになっているのをみたことがある人は多いのではないでしょうか。
植物の根は呼吸をしています。
あのぐるぐるに絡まり合ってしまった根っこは、ポットの中が酸欠状態になって酸素を求めるためにどんどん伸びていった状態です。
みずやりをすると水はポットの側面に沿って底へ流れて行きます。
また、ポットの側面付近は結露によって水が溜まりやすいです。
ポットの内側面は水が溜まりやすいゾーンであり、根が酸欠になりやすいのです。
酸欠になった根は、酸素を求めてどんどん伸び進もうとします。
そのため必要以上に伸びた根が側面に沿ってぐるぐると巻いていくという現象が起こります。
しかし、根がぎっしりと詰まった状態では余計に水捌けが悪くなって水を吸い上げる力が弱まってしまいます。悪循環です。
根っこに酸素を供給するのがスリット鉢
鉢の側面にスリットが入っている場合はどうなるでしょうか。
植物の根は酸素に触れることができるので酸欠になりません。
なので必要以上に根が伸びることがなく、適切な長さでストップします。
根がぐるぐる巻きになることがないので、限られたスペースを有効活用することができます。
水はけも悪くならないので根腐れしません。
- 根のサークリングを防ぐ
- 根腐れを防ぐ
根っこに酸素が行き渡ることでこのような大きなメリットが得られます。
スリット鉢を使うことによって格段に植物を育てる難易度が低くなると言えるでしょう。
スリット鉢に鉢底石は使わない
鉢底石は水はけを良くするためにメジャーな資材です。
水はけの良いスリット鉢に鉢底石を合わせれば最強なのでは!?
と思われるかもしれませんが、スリット鉢と鉢底石の相性は悪いです。
理由は、鉢底石を敷くと、根が空気に触れるスペースが狭くなってしまうからです。
この図をみると分かる通り、鉢底石があるせいでせっかくあるスリットの意味が無くなってしまっています。
スリット鉢には何も資材を足さず、ダイレクトに土を入れるようにしましょう。
スリット鉢のデメリット
大きなメリットが得られるスリット鉢ですが、デメリットもあります。
一つずつ見ていきましょう。
見た目がオシャレじゃない
ほとんどのスリット鉢がプラスチックでできているので仕方がないですが、質感がチープなのは否めません。
プラスチックは軽くて扱いやすいという利点もあるにはありますが…
さらに、色や形もバリエーションが少ないです。
大抵のスリット鉢は無地の緑色をしていて、デザイン性は低いですね。
ただ最近は、スリット鉢の需要が高まってきているためか、緑以外の色も発売されているようです。
直射日光が根に影響する
これもプラスチック鉢のデメリットになります。
プラスチックは厚みがなく遮光・遮熱の効果がありません。
真夏の直射日光が当たると、鉢の中が高温になり、蒸れたり根に大ダメージを与える可能性が大。
ひどい場合は枯れることも考えられます。
直射日光が当たる場合は、鉢の側面に日を遮れるものを巻いたりカバーをしたりといった対策が必要になります。
土がこぼれやすい
スリットの穴は意外と大きく、鉢底ネットは使えません。
また、前述したように鉢底石を使うのもすすめられないです。
ダイレクトに土を入れるとスリットから土がボロボロとこぼれてしまいます。
植え付けてしばらくすれば根が張ってくるのでこぼれることはなくなりますが、最初のうちはどうしてもベランダの床などを汚してしまいます。
スリット鉢のおすすめの使い方
スリット鉢のメリット・デメリットがわかったところで、私のおすすめの使い方をご紹介します。
スリット鉢のデメリットをカバーできる使い方ですのでぜひ真似してみてください。
鉢カバーを使う
スリット鉢は本来観賞用の鉢ではないので、おしゃれじゃなくて当然なんですよね。
そこで、スリット鉢よりも一回り大きなサイズのカバー用の鉢を用意し、その中にスリット鉢を入れるという二重構造がおすすめです。
これなら自分の好みの鉢を楽しみながらスリット鉢のメリットも享受できます。
しかも植え替えをしなくてもカバーだけ変えれば簡単に雰囲気を変えることができるので、「この鉢のデザイン飽きちゃった…」みたいな飽き性の人にもピッタリ。
さらに真夏の直射日光対策にもなるので最強ですね。
カバーにするものは鉢カバー専用のものでもいいですし、普通の鉢でもOKです。
穴があいていない鉢カバーを使う場合は、水が溜まりっぱなしにならないように注意しましょう。
空気を通す土どめを使う
スリットから土がボロボロとこぼれる問題。地味に厄介です。
おすすめの対策は、ティッシュや紙でスリットを塞ぐことです。
土どめをしたいけれど、鉢底ネットも鉢底石も使えない。通気性は確保したい。
それならば、空気を通すもので一時的に塞げばいいじゃない!
ということで、一番身近にあるティッシュや古紙で塞ぐのがおすすめです。
これなら空気を遮らないのでスリット鉢のメリットを潰すことがありません。
紙は土に触れると微生物に分解されるので、気づいた頃には無くなっています。
紙がなくなる頃には植物の根が張ってきて土が溢れなくなっているという寸法です。
調子の悪い植物に使う
スリット鉢が植物に良いとはいえ、もともと持っている鉢やプランターもあるし、全ての植物をスリット鉢にするのはちょっと…
と思いますよね。
そのようなときは、植物の救急鉢としていくつかだけ持っておくというのも賢いと思います。
根腐れしてしまった植物、虫に食われてしまった植物、病気が蔓延した植物など…
弱ってしまった植物はスリット鉢に一時避難させましょう。
スリット鉢の効果により、植物の回復を助けることができます。
弱っている株の根を刺激すると枯れる可能性があります。植え替えの際は極力根をいじらないように注意してください。
まとめ
スリット鉢は通気性が良く植物にとってメリットがいっぱい!
構造と原理を理解することで、より効果的に活用することができます。
デメリットも対策すれば問題なし。
ぜひスリット鉢を取り入れて、ガーデニングスキルを向上させていってくださいね!
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